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NY EDITION

【トリート特別連載】ディア エンパワード ブライズ 第3回 世界を飛び回るドリームドレス選びのスペシャリスト ジュリー・サバティーノ氏 xトリート侍女子 対談

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トリートが「女性エンパワーメント」を掲げて、花嫁様とすべての女性へ贈る特別連載
Dear Empowered Brides

トリートが定義する「エンパワーされた女性」とは、常識や習慣、他人の評価にとらわれることなく、自らの信念に従って行動する自律した女性


連載第3回目は、ブライダルスタイリストの第一人者としてニューヨークを拠点に国内外で活躍するジュリー・サバティーノ氏を迎えてお届けするロング対談。今回は「トリートの侍女子」3名がドレススタイリストとしてだけでなくビジネスウーマンとして、女性として様々な切り口からサバティーノ氏に質問しました。まさにエンパワード ・ウーマンなサバティーノ氏にきっと貴方もエンパワーされるはず。

【ゲストスピーカー】
ジュリー・サバティーノ(Julie Sabatino)氏 | ザ・スタイリッシュ・ブライド(The Stylish Bride)ファウンダー
【スピーカー】
三輪真央氏 | 株式会社トリート 東京エリアマネージャー
大西未祐氏 | 株式会社トリート 神戸エリアドレスコーディネーター/エキスパートコース所属
坂倉麻里子氏 | 株式会社トリート 名古屋店マネージャー
【オブザーバー】
飯島智子氏 | 株式会社トリート PRESS
【モデレーター・通訳】
松本亜佑香 | Martha Stewart Weddings Japan Editor at Large

トリート特別連載第1回目のTOMO KOIZUMI氏とのロングインタビューはこちら

トリート特別連載第2回目のバイイングトリップ〜メゾン・ラビ・ケィローズ編〜はこちら

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世界を舞台に活躍するブライダルスタイリストの第一人者

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いつも輝く笑顔で花嫁たちを運命の1着へと導くジュリー・サバティーノ氏。彼女は花嫁だけでなく業界関係者からも信頼のあついドレス選びのスペシャリストだ。

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「花嫁一人ひとりを運命の『ドリームドレス』へ導く女性」

それがジュリー・サバティーノ(Julie Sabatino)氏だ。サバティーノ氏は ザ・スタイリッシュ・ブライド(The Stylish Bride)のファウンダーで、ニューヨークを拠点にブライダルスタイリストとして国内外の花嫁のウェディングドレスのパーソナルショッピングとトータルスタイリングを行っている。

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サバティーノ氏:今回、トリートの皆さんとこうして対談させていただくことをとてもうれしく思います。「日本ではウェディングドレスはレンタルが主流」と聞いたことがあり、個人的にはとても興味があります。これまでアメリカでもウェディングドレスのレンタル事業に挑戦した企業もあるのですが、まだ成功している例はないんですよね。サステナビリティーが提唱されている今、欧米のウェディングドレス文化も変わっていくと思います。

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欧米の花嫁は、日本と違ってウェディングドレスを購入するのが一般的。しかし、形式は違っていても、花嫁へ運命の1着を提案するドレスコーディネーターやスタイリストたちの想いは国境を超える。そんな共感と共鳴に満ちたZOOMロング対談を、トリートの侍女子たちがナビゲートする。

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だったら私が”その人”になろう

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三輪氏。東京エリアマネージャーとしてスタッフの育成にも尽力し、経営に関わるプロジェクトにも携わり、様々な角度からトリート全体を底上げしているひとり。

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三輪氏:私は、2011年にトリートに転職したのですが、前職からドレスコーディネーターとして経験を積み、現在は東京エリアマネージャー、またドレス以外の経営面に関わる社内プロジェクトにも参画しています。サバティーノさんがブライダルスタイリストのお仕事を始められたきっかけを教えてください。

サバティーノ氏:まずは、私自身の結婚式のエピソードからお話させてください。結婚して19年経つのですが、私は自分のウェデイングドレスを選ぶことにとても苦労したんです。2000年の頃は今とは全く違って、ソーシャルメディアもありませんし、ちゃんとしたウェブサイトを作っているデザイナーもまだ少なくて、自分が欲しいウェデイングドレスを見つけることがとても大変でした。ドレス選びに関しては、私が思い描いていた映画に出てくるような「夢のようなウェディング」とは全く違っていました。しかも、当時私はウォールストリートで働いていて、とにかく毎日激務でウェディングドレスを選ぶ時間すらありませんでした。また、私はふくよかな体型で身長もあり、普段のファッションでさえ自分が美しく見える洋服選びにも苦労していました。そこで、誰かウェディングドレスを選ぶのを手伝ってくれる人がいないか探したんです。でも、当時そんな人はいませんでした。それで「だったら私が”その人”になろう」と思ったんです。結婚後に金融業界を離れてファッションスクールに通い、卒業後に アムサーラ(AMSALE)で働き始めました。そこで、やっぱりどんな花嫁にもドレス選びを助けてくれる存在が必要だと再確認し、2003年に独立して現在のブライダルスタイリストの仕事を始めました。

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ウォールストリートの金融ウーマンからブライダル業界へキャリアチェンジをしたサバティーノ氏。

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「自分が困ったように、きっと同じように困っている人がいるはず。」そんな想いがきっかけでブライダルスタイリストへ転身したサバティーノ氏。ちなみに彼女が自身の結婚式で選んだドレスはアムサーラのドレス。

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アムサーラのシンプルなドレスを身に纏ったサバティーノ氏。
ご主人との出会いは投資銀行時代、社内のカクテルパーティーで。ご主人が彼女に一目惚れしたそう。

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サバティーノ氏:ダッチスサテンの素材でとても長いトレーンのドレスでした。装飾は一切ないシンプルなドレスで今でも大好きなドレスです。

一同:わぁ、綺麗!

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支えられているから、支えることができる信頼関係

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サバティーノ家。コロナ禍で家族とのかけがえのない時間に気づいたいうサバティーノ氏。

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三輪氏:お二人のお子様がいらっしゃると伺いました。ビジネスウーマンとして、母親、妻としてのバランスを保つために、心がけていらっしゃることはありますか?

サバティーノ氏:とても難しい質問ですね。COVID-19発生前、少なくとも10年間は毎日朝から晩まで仕事の日々で、子供たちとの時間は全くありませんでした。コロナ渦で良かったことは、出張もなく家を留守にすることもなかったので家族との時間が増えたことです。以前は、常に前へ進まなければと邁進する日々で「自分が失っていたもの=家族とのかけがえのない時間」に気づくことすらできませんでした。COVID-19が収束した後も、家族との時間を優先したいと思っています。私のビジネスは大きく2つの領域があって、まず、私が一人で対応している、パーソナルショッピングやトータルスタイリングを行うスタイリストとしての仕事。もうひとつは、結婚式当日に会場でドレスにスチームをかけたり靴やアクセサリーなどファッションに関わる全てのお世話をする介添えとしての仕事。こちらはアメリカとイギリスの7都市にアシスタントスタイリストを配置してチームとして活動しています。今後はパーソナルショッピングとスタイリングの仕事に関しても各都市に私をサポートしてくれるアシスタントがいてくれたら良いなと思っています。

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サバティーノ氏がファウンダーを務めるThe Stylish Brideのアシスタントスタイリストたちと。

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飯島氏: これまでは本当にお忙しい日々を過ごされていたのですね。そのような中で、サバティーノさんはご家族、スタッフの方々とどのように信頼関係を築いていらっしゃるのでしょうか?

サバティーノ氏:(考え込むサバティーノ氏)そうですね・・・私には、とっても素晴らしい夫がいるんです。(一同感激のため息)彼は驚くほど全てのことをサポートしてくれる人。私ができないことを彼が全てカバーしてくれて、とにかく全方位にきめ細やかなケアをしてくれる人です。私はとてもラッキーだと思います。(一同笑い)彼がいなければできなかったことが本当にたくさんあるので、感謝してもしきれません。これまでも家族との時間を優先しようとトライはしてきたけれど、私のお客様は花嫁。一生に一度の大事な結婚式を控えている彼女たちを待たせることもできないし、何かを要求されればすぐに対応しなければいけません。だから彼の助けがあるからこそ花嫁、スタッフ、そして家族とも信頼関係が築けていると思います。

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サバティーノ氏は、パートナーに支えられ助けられているからこそ、助けが必要な花嫁をサポートできている、と語る。そして、自分を助けてくれる存在に感謝の気持ちを忘れないサバティーノ氏からは「支えられて、支える」という現代のエンパワード ・ウーマンの新しい夫婦の信頼関係が見えてくる。

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問題解決はパズルみたいなもの

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左が坂倉氏。2014年に中途入社して以来、誰よりも責任感が強い坂倉氏の強みは志とスキルを兼ね備えた最強のチームづくり。
現在は名古屋店のマネージャーとしてメンバーを牽引している。

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坂倉氏:私は2014年にトリートに中途入社し、現在名古屋店のマネージャーとしてチームを育てているのですが、サバティーノさんがお仕事をされる際のモチベーションを伺いたいです。

サバティーノ氏:私は花嫁をサポートできるこの仕事が本当に好きなので、仕事自体がモチベーションですね。花嫁たちが幸せに満たされるその瞬間が私にとっても幸せな瞬間。花嫁たちとの対話はとてもワクワクし、彼女たちから学ぶこともたくさんあります。私が自分のドレス選びで悩んで苦しんだあの想いを花嫁たちには絶対にさせたくない、と常に強く思っています。もうひとつのモチベーションは、問題解決をすること。何かトラブルが起きたら、ユニークな解決策を考えることがたまらなく好きなんです。(一同笑い)仕事だけでなく、家庭のことでも問題が起きたら「何か面白い解決策はないかな?」とワクワクしながら考えます。ビジネスに関しては問題解決だけでなく、どのように事業を成長させ、変革させ、拡大していくかを考えることも好きで、それが私のモチベーションになっています。

一同:問題解決がモチベーションに?え〜!素晴らしいです!

サバティーノ氏:私にとって、問題解決はパズルみたいなものなんです。ウォールストリートで働いていた時、投資銀行のリクルーターをしていたのですが「プロフェッショナルとは」「仕事への取り組み方」「難しいパーソナリティのマネージングの仕方」といった素晴らしいトレーニングを受けた経験がいきていると思います。

飯島氏:サバティーノさんのインスタやウェブサイトのお写真を拝見してスタイリストという肩書から感性や感覚でお仕事をされているのかなと思っていたのですが、とてもロジカルでいらっしゃるんですね。実は今回のメンバー3名は左脳派で、トリートを代表する「侍女子」と呼ばれているのですが、サバティーノさんと共通していると感じました。(一同笑い)

サバティーノ氏:侍女子!(笑)そのネーミングとても素敵!

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花嫁を「運命のドリームドレス」に導く

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大西氏:私は神戸エリアでドレスコーディネーターとして日々花嫁様のサポートをさせていただいています。それぞれの花嫁様に似合うドレスを感覚で選ぶ場合もあるのですが、サバティーノさんは花嫁様と運命の1着をどのように選ばれるのでしょうか。

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「ドレスを身に纏うのは私ではなくて、花嫁。」ドレスを一方的に選ぶのではなく、あくまでガイドとして花嫁と一緒に運命のドリームドレスを選ぶサバティーノ氏。

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サバティーノ氏:まずは、花嫁のパーソナリティやバックグラウンドなどを知ること、そして花嫁が何を求めているかを知ることから始めます。アメリカの一般的なドレスサロンではヒアリングは5分くらいですが、私は1時間くらい時間をかけて多くの質問をします。花嫁がどんな人物で、何を求めているかを伺って、これまでのスタイリングの経験から「あ、彼女にはこんなスタイルが合うんじゃないかしら?」とピックアップして提案します。私がやるべきことは、彼女たちがドレスを纏って、どう感じているかを理解しその感情を掴むこと。だから試着の際はとても注意深く花嫁を見ています。笑顔なのか、ワクワクしているか、ドレスのどのパーツをよく触っているかなど、くまなく観察して、そしてどう感じているかを花嫁に必ず聞きます。もし、ドレスが花嫁の体にあっていない場合、たとえばグラマラスな花嫁が胸の部分のサポートがあまりないドレスを試着している時「あなたには似合ってない!だめよ。」とは絶対に言いません。やんわりと「もう少し胸のサポートがしっかりしているドレスも試してみない?」と提案します。あくまで私は花嫁のドリームドレスをガイドする役目。どんなに似合っていなくても私は絶対に直接的なことは言いません。やんわりと伝えます。ものすごくやんわりと。(笑)「う〜ん、あなたにはもっとこういうのが合うんじゃない?」って。

大西氏:トリートメンバーも花嫁様との信頼関係をとても大切にしています。サバティーノさんと同じくまずはニーズを伺うことが第一歩で、信頼いただいてから本音で話せる関係性を築いていくことを大切にしているのでとても共感します!

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コロナ禍でのアメリカウェディング事情

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坂倉氏:2020年はCOVID-19の年でしたが、パンデミック禍において、アメリカのウェディング業界で大きく変化したことは何でしょうか?

サバティーノ氏:アメリカのブライダル業界も他業界同様かなり打撃を受けています。まず、ウェディング自体がありませんし、あったとしてもとても小規模です。COVID-19発生以降、沢山のドレスショップやデザイナーたちとも話しましたが、花嫁がアポイントメントをとっていてもキャンセルになるか、来店して試着をしても花嫁自身もいつ結婚式ができるかわからないので購入に至るケースはほとんどない状況だともらしていました。今年結婚式予定だった私のお客様も2021年や2022年に延期していて、業界全体がもがいている状況です。もちろんブライダル業界に限らずどの業種でもスモールビジネス(中小企業)は本当に大変でみんな戦っています。 コロナ禍で小規模ウェディングを一旦して、1周年記念などで盛大なパーティーをしようという花嫁もいますが、アメリカは感染者数がどんどん増えていて、州によっては規制も厳しくなっているので、小規模ウェディングはせずに結婚式を延期するだけのケースが多いのが現実です。今、業界でひとつ大きな問題があって・・・。アメリカではこの時期(感謝祭からお正月まで)婚約や結婚をするカップルが圧倒的に多いんです。でも、今年婚約したほとんどのカップルが2022年まで結婚式の予約ができない状況です。なぜなら人気の会場やプランナー、フローリスト、フォトグラファーは、今年結婚式ができなかったカップルに既に抑えられていて、実はダブルブッキング状態。私も2021年6月12日に4組の結婚式がありオーバーブックされています。

三輪氏:2022年まで!アメリカではほとんどの方が延期されるんですね。日本ではコロナ禍で新しい結婚式の様式、たとえばご家族とゲストを分けて二部制にした小規模パーティや、沖縄や軽井沢などでのリゾートウェディング、ウェディングフォトなどの需要も増えていたり、マスクやフェイスシールドを装着したりと工夫をしているのですが、ニューヨーク、アメリカ全土でそのようなコロナ禍での新しい様式はあるのでしょうか?

サバティーノ氏:まず、アメリカではほとんどの花嫁がマスク着用の結婚式を敬遠しています。富裕層カップルの稀なケースですが、COVID-19の感染有無を瞬時にテストできるキットを購入してゲスト全員に結婚式前日もしくは当日に検査をしてもらい、陰性だったゲストだけが参列できるという結婚式がありました。でもこのテストキット、とても高額なんです。だからごく一部のカップルだけしかできません。(笑)

一同:え〜!すごい!

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これからのアメリカのウェディングのかたち

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大西氏。豊富な経験と知識を持ち合わせたトリートを代表するトップコーディネーター。現在は、神戸エリアのドレスコーディネーターを務める。

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大西氏:今後のアメリカのウェディング業界の変化をどう考えていらっしゃいますか?

サバティーノ氏:悲しいことに、ニューヨークではたくさんのドレスショップが閉業しています。たとえば サックス・フィフス・アヴェニューのブライダル部門やソーホーのドレスショップ、ガブリエラも閉店しましたし、本当に多くのブライダル関係者が職を失いました。小規模のドレスショップはどうなるかわからないのが現状だと思います。たとえば、 モニーク・ルイリエオスカー・デ・ラ・レンタのようにブライダルだけではなく、レディ・トゥ・ウェアやアクセサリー、ビューティーなど様々なカテゴリーを持っているブランドは大丈夫ですが、ブライダルラインのみや個人で行っているところは非常に厳しいと思います。

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コロナ禍の2020年5月にいち早く自社ウェブサイトでウェデイングドレスのEコマースビジネスを確立し、花嫁へバーチャルフィッティングの提案をスタートさせたダニエル・フランケル
Photo by AYUKA MATSUMOTO

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サバティーノ氏最近興味深いと感じたのは、花嫁が自宅で試着をしてZOOMなどでコンサルテーションや採寸を行うドレスショップやデザイナーたち。このシステムをうまく活用できている人たちは、コロナ禍でもとても成功しています。私たちはコロナ禍で、家にいても何でもできることに気づきましたよね?だからウェディングドレスを購入する方法もいつか変わるんじゃないかなと思います。もちろん、ウェディングドレスをバーチャルで取り扱うことに抵抗のあるデザイナーたちもまだ沢山います。ドレスのバーチャル販売が広く普及するには時間がかかると思いますが、私はとても効率的で面白いと思っています。たとえば、 ダニエル・フランケルもこのバーチャルフィッティングで成功しているデザイナーのひとりですね。アメリカのウェディング市場はこの半世紀でかなり変わりました。特に過去15年で結婚式の規模は、ゲスト数も増え、盛大にとウェディング業界は大きく成長し続けていました。でも、私の両親が結婚した1970年代のアメリカの結婚式はかなり小規模でした。COVID-19をきっかけにして私たちの意識が変わり「何が自分たちにとって大切か」を考えて小さな結婚式にシフトしていくカップルも増えると思います。一方で、COVID-19が収束したら、特にニューヨーカーたちはパーティーやイベントをしたくてうずうずしているからウェディング業界も大爆発しそうです。(笑)

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COVID-19前は、毎日どこかでパーティーやガラ、イベントが行われていたニューヨーク。
Photo by AYUKA MATSUMOTO

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不安や苦しさを受け入れたら、それは気付きやチャンスになる

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坂倉氏:COVID-19が全世界で発生して、私は、当初その状況を消化しきれませんでした。最近ようやく消化できるようになったのですが、ジュリーさんも価値観など何か変わりましたか?

サバティーノ氏:麻里子(坂倉)さんの気持ちとてもよくわかります。価値観は本当に変わりましたね。今までは時の流れがとっても早かったのですが、この1年は時間がゆっくりと流れて、何より夜に子供と過ごす時間ができました。それまでは、ブライダル業界のいろんなイベントやパーティーやビジネスディナー、ビジネストラベル・・・と、とにかく私は家にほとんどいませんでした。だから今のこのスローペースがとても好きです。仕事に関しては、精神的にとても辛かったです。私の仕事は花嫁と対面して一緒にドレスを選ぶことなのに、COVID-19のせいでそれができないということがとても悔しかったです。でも最近になって、実際にその場に一緒にいなくてもバーチャルで花嫁をサポートできることに気づきました。そして、バーチャルだったらもっと時間ができるからさらに多くの花嫁をサポートできるチャンスだと思っています。正直、2020年は今までで一番忙しくて最も実り多い年になるはずでしたが、仕事がすべてキャンセルになって、本当にショックでした。でもこれから先、困難なことが起きてもこれはひとつのチャンスだ、とこの経験を忘れずにいようと意識が変わりました。COVID-19が収束した後も今までと同じように仕事を優先する選択肢もあるかもしれませんが、私自身がもっと変化して一歩を踏み出し、成長したいのであればまさに今がその時だと思っています。

大西氏: COVID-19で気持ちが沈んでいるお客様や結婚式自体を諦めなければという花嫁様もいらっしゃり、私たちは接客の際に少しでも安心していただいて、ポジティブなお気持ちになってもらえるように気を配っているのですが、サバティーノさんからのアドバイスをいただけたらうれしいです。

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花嫁に傾聴し、寄り添い、そして「私が花嫁だったら」と想像をして花嫁に向き合うサバティーノ氏。

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サバティーノ氏:まずは共感して「あなたが辛いと感じるその気持ちが私にもとてもわかるわ。とても辛い状況だし、そうやって辛いとか悲しいと感じることは全くおかしいことではないから安心して。」と言葉をかけてあげることです。花嫁にいかに寄り添えるかがとても大切だと思います。COVID-19に動揺してはいけない、恥ずかしいとすら思っている花嫁がアメリカにも沢山います。今の状況だと、実際に結婚式ができるか、健康な状態で家族が出席できるか、先が見えずとても辛いと思います。その不安な気持ちを一緒に受け入れて、そして少しでも前に進んでみようよ、と日々花嫁を勇気づけています。中には「COVID-19なんて存在しない。」と振る舞っている花嫁もいて・・・。州によっては、COVID-19なんて存在しないと信じている人たちもいて「私は結婚式を今したいの!コロナなんて関係ない。どうだっていい。」と言う花嫁もいるんです。今の状況に落ち込んでいてナーバスになっている花嫁には私も寄り添い「本当に大変な辛い時期だよね。」と共感し、一緒に前へ進めますが「大丈夫よ!COVID-19なんて存在しないわ!」とは言えません。

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右が飯島氏。トリートのPRを担い、トリートの世界観のストーリーテラーとして、日本だけでなく海外へその魅力を発信し続けている。

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飯島氏:様々な花嫁様に真摯に向き合っていらっしゃるサバティーノさんとお話をしてとてもエネルギーをいただけて、私たちも改めて、花嫁様に寄り添って前向きにいろんな可能性をご提案、サポートしていこうと思いました。コロナ禍で、日本の花嫁様も大変ナーバスな気持ちと向き合っていらっしゃった時期もありました。ですが、秋頃からは「今だからこそできるウェディングとは?」と”withコロナウェディング”をポジティブ思考で考えられている花嫁様が増えてきていると感じます。そのひとつとして、リゾートウェディングの需要が増えていて、日本を代表するリゾート地・沖縄でのリゾートウェディングは今大変人気なんです。トリートでも多くのカップルのお手伝いをさせていただいています。これは日本の花嫁様に向けてのメッセージなのですが・・・今、特におすすめしたいのが、 ハレクラニ沖縄でのリゾートウェディングです。日本ではリゾートウェディングというとカジュアルな印象があるのですが、都内のラグジュアリーホテル同様の上質なホスピタリティに包まれて、上質なドレスを身に纏える、ラグジュアリーなリゾートウェディングは新しいウェディングスタイルになるのではないかなと思っています!

サバティーノ氏:まるでフロリダのパームビーチみたいなラグジュアリーな感じがしますね。

飯島氏:そうなんです!サバティーノさんも仰っていたようにこれからはウェディングも「何が自分たちにとって大切か」がキーワードになると感じます。開放的なリゾートの地で、本当に大切なゲストやご家族とのプライベートなお時間をお過ごしいただけるので、日本の花嫁様におすすめしたい新しいウェディングの形です。今日はサバティーノさんといろんなお話をさせていただいて終始ワクワクしていたので、今夜は眠れなさそうです!(一同笑い)

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ドレススタイリストという職業が「天職」であると話してくれたサバティーノ氏。

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一同:最後にサバティーノさんの夢の叶え方の秘訣を教えてください。

サバティーノ氏:私の夢はまさに今の仕事なので、自分の天職、ビジネスがうまくいく秘訣をお話しますね。それは、エシカルであること、正直であること、そしてもっとも大事なのは相手を深く思いやる心です。ブライダル業界では、花嫁とハッピーな関係性を築き、お互いに理解し合うことはとても重要です。傾聴すること、自分が花嫁だったら何を知りたいかと常に考え、そして求められていること以上のプラスアルファを提供することです。花嫁たちに満足してもらえるように、私だけでなくスタッフの教育も徹底していて「A need anticipator (ニーズを先読みする人)」というトレーニングを行っています。たとえば、式の後に屋外で写真撮影をする場合「きっと花嫁は喉が渇くだろうな、だったらお水のペットボトルが必要。でもリップが崩れないようにストローも持って行こう。」というように想像力を働かせた気遣いができるようにスタッフを教育しています。花嫁にとってはすべて初めてのことばかりですが、私たちはプロフェッショナルでたくさんの知識があるのだから、そこまで気を配らないといけませんよね。

一同:プロフェッショナル!私たちも常に「自分が花嫁様だったら」と想像しながら日々お客様と向き合っているので、サバティーノさんと共感しあいながらお話ができてとても光栄です。

サバティーノ氏:日本とアメリカのマーケットは違っても、トリートさんと私は同じマインド、お客様と向き合う根っこの部分が一緒なので、私もお話ししていてとても楽しかったです。日本の花嫁たちの為に日々頑張られているのが伝わってきました。何か私にできることがあればいつでも言ってくださいね。COVID-19が収束して来年の秋にはブライダルマーケットで会えることを楽しみにしています!あ、日本でお会いするというのも良いですね。

一同:その際は是非トリートのショップにも遊びにいらしてください!


この対談は、2020年12月10日に行われました。


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ジュリー・サバティーノ(Julie Sabatino) | ザ・スタイリッシュ・ブライド(The Stylish Bride)ファウンダー&ブライダルスタイリスト
アメリカの大手投資銀行、ソロモン・スミス・バーニーに勤務した後、ニューヨークのファッション工科大学へ入学。ブライダル業界を志して卒業後、マディソンアベニューにあるアムサーラに入社し何百人もの花嫁をサポート。2003年にThe Stylish Brideを立ち上げ、ブライダルスタイリストとしてアメリカだけでなく世界中の花嫁を運命のドリームドレスへと導いている。
公式HP: https://thestylishbride.com/公式Instagram: @thestylishbride

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THE TREAT DRESSING(ザ・トリート・ドレッシング)
「女性ごころをくすぐる世界をお届けする」を理念に、世界中の旬なドレスを揃え、日本のウェディング業界の常識にとらわれることなく常にトレンドセッターであり続ける。
公式HP: https://www.treatdressing.jp  
公式Instagram: @thetreatdressing

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Crew of TREAT 今回登場したトリートメンバー

三輪真央(みわ まお) | 株式会社トリート 東京エリアマネージャー
2011年中途入社。自身がマネージャーを務める店舗から個人賞を受賞するスタッフを多数排出し、全店舗を代表して店舗MVPを獲得した経験を持つ。またコスト削減プロジェクトなど、経営面に携わるプロジェクトにもインチャージしている。

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大西未祐(おおにし みゆ)| 株式会社トリート 神戸エリアドレスコーディネーター/エキスパートコース所属
2012年にアルバイト採用で入社。3年間のアシスタント業務を経てドレスコーディネーターデビュー後、販売ドレス売上1位を2期連続獲得し、ドレスの買い付けに同行。トリートを代表するトップドレスコーディネーター。

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坂倉麻里子(さかくら まりこ)| 株式会社トリート 名古屋店マネージャー
2014年中途入社。ドレスコーディネーターとして2年連続でMVPを獲得し、ニューヨークの買い付けに同行。その後、自身がマネージャーを務める店舗が店舗MVPを獲得。過去最高の売上を更新し続ける強いチームづくりを行っている。

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飯島智子(いいじま ともこ) | 株式会社トリート PRESS
2015年新卒入社。ドレスコーディネーターの経験を経て、PRに着任。TREAT MAGAZINEの製作や新ブランドの買い付けなどを通しながら、トリートのストーリーテリングと心くすぐる世界観を創造し続けている。

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FROM >>> NEW YORK

NY在住・NY EDITIONのAYUKA MATSUMOTOが「ニューヨーク」「エンパワード・ウーマン」「ウェディング」etc.様々な切り口でお届けする、おまけミニコラム。
今回のおまけはジュリー・サバティーノさんのアイコン女性について!

「私のアイコンは、Marie Kondoよ!」
そう、サバティーノ氏の憧れの女性は、日本が世界に誇るお片付けのカリスマ・コンマリ こと近藤麻理恵さんだそう。サバティーノ氏は、彼女のビジネスモデルやメソッドを自身のビジネスに置き換えているそうだ。「私の仕事上の哲学は『ファッションで良い気分になれるよう人を助けること』。服を身に纏うことで自分がどう感じるか、周りからはどう見えるかが重要だと思っています。でも、現代のアメリカ人はそういうことを知らない人が多いのです。たとえば、アイロンのかけ方やお裁縫、洋服がフィットするかどうかだけでなく、何を選べば良いのか知らない人たちがたくさんいるんです。だから、昔は当たり前だった常識を若い世代に教えることが彼らをハッピーにすることなのでは、と最近思います。事実、コンマリさんは私たちアメリカ人にとって眼から鱗な片付け方法をわかりやすく楽しく教えてくれています。」この話を聞きながら驚きで言葉を失った私たちにサバティーノ氏は「あははは。でしょうね。でもそこが重要なの。日本人にとっての常識をそれが当たり前じゃないアメリカ人に丁寧に教えている、その着眼点がコンマリさんのすごいところです。事実、彼女はそれで世界的に成功しているでしょ?」
国が違えば常識も違う、それが新しいビジネスのヒントになることもあるということを教えてくれた。エンパワード ・ウーマンであるサバティーノ氏をエンパワーする近藤氏。まさに"Empowered woman empowers woman."だ。

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Write & Edit by AYUKA MATSUMOTO